のんほいパークのペンギン事情

飼育員

気づいたら飼育員となって4 年経過し、ペンギンと関わって4年ということになります。
ペンギン担当になる前は、ペンギンに対して「かわいいなぁ」と正直それ以外の感情はなく、知識も何もなかったです。しかし、ペンギンと深く関わるようになってコミュニケーションが豊富な姿、泳ぐための体の進化、人間にはできない胃の働き、繁殖の難しさを感じ本当におもしろい動物と思っています。
当園には、ペンギンは4種類飼育しています。
フンボルトペンギン、ジェンツーペンギン、オウサマペンギン、ミナミイワトビペンギンです。実は動物園で4種類も飼育しているのは珍しいです!
フンボルトペンギン、ジェンツーペンギンは子育ても上手で、各園館で個体数は安定しています。反対にオウサマペンギン、ミナミイワトビペンギンは各園館で減少傾向にあるためもっと増やすべき個体です。
当園でのオウサマペンギンは昨年5年ぶりにヒナが育ちました。オウサマペンギンは、ほぼ毎年ペアが変わるのでどのペアと組むのか常に観察し、繁殖させない個体をサブの部屋に移動させました。またメインの展示場(お客さんが見れる展示場)の他の種の個体数を減らしサブに移動させたことで安定した環境でヒナが育つことができたと思います。
今では大人と同じ大きさになり、手差しで食べてくれるようになりました。クチバシがまだ黒っぽい個体がそうです。探してみて下さい!

一方当園のミナミイワトビペンギンは、さらに増えていません。
昨年は各園館あわせても3羽しか増えていないのが現状です。
高い岩場の上に巣を作るため卵やヒナが落下しやすいことや、有精率も他の種類と比べて低いため増えにくいのです。

安定した環境で増やしたいと考え、
2020年、2021年はサブの部屋に平坦な場所に巣を置き、隣の巣の間に壁をつくり移動させました。しかし巣には少し執着したものの繁殖場所として認めてくれませんでした。

昨年は、悔しくもサブでの繁殖を諦めメインの展示場に戻しました。また落下しにくい場所に巣を追加しました。しかしサブに移動させた影響からか4ペア1卵(無精)のみしか産卵しませんでした。

今年は、照明の角度を変更し、巣の補強や、巣の追加、オスが巣を作ってもメスが登れない場所には巣を作れないようにしました。そのため今年は5ペア中有精1卵(初期中止卵)と無精5卵という結果になりました。昨年新しく追加した巣も執着が強まっています。
ヒナが生まれなかったことは悔しかったですが昨年よりいい方向に向かっています。

試行錯誤した結果、当園の繁殖期のスイッチはやはりメインの展示場でしか入らないということがわかりました。特にジェンツーペンギンの繁殖のための巣のリングを入れた瞬間が、オスの巣への執着が高まっていきます。今年は巣に執着したので次は有精率をあげることが課題です。

ペンギンには勉強会というものがあり、各園館でペンギンの繁殖や、個体数、野生の現状の共有をします。
利益目的ではなく、日本でその動物の展示を継続するために連携し情報共有します。ペンギンだけでなく他の動物でもあります。それはとてもありがたく、凄いことだと思います。
今年は、ミナミイワトビペンギンの繁殖に関して多くを共有できたので、エサの与え方や巣の位置の工夫まだまだできることが無限だと感じました。
「鳥は面白いよ!」と他の方から聞いてはいましたが、鳥は毎年産卵のチャンスが来るし、
環境を変えただけ変化が分かりやすいので飼育して心の底からおもしろいなと感じます!
「今年も増えなかったぁ」と至らない自分に悔しい思いをするときもありますが、試行錯誤し挑戦できる場がある環境はうれしい限りです。
当園のミナミイワトビペンギンのヒナが生まれるために来年に向けてまた挑戦していきます。以上、のんほいパークのペンギン事情でした!
長々とした文章を読んでいただきありがとうございました。

ペンギン担当