守れ!渥美半島のヤマトサンショウウオ

飼育員

みなさんこんにちは!

早速ですが皆さんはヤマトサンショウウオって知っていますか?

サンショウウオと聞くと大きなオオサンショウウオを思い浮かべる方が多いと思いますが、ヤマトサンショウウオは15cmくらいの小さなサンショウウオです。

ヤマトサンショウウオとヤマトサンショウウオの卵(卵嚢)はこちら

ヤマトサンショウウオは近畿から東海地方にかけて生息し、愛知県では渥美半島にのみ生息しています。国では絶滅危惧Ⅱ類、愛知県では絶滅危惧ⅠB類に指定されています。

私たちが暮らす日本にはヤマトサンショウウオを含む小型のサンショウウオが45種類以上も生息しています。そう、日本はサンショウウオの楽園!

しかし、生息環境の悪化やヒトによる乱獲などで数を減らしている種もたくさんいます。

このブログではのんほいパークが行っているヤマトサンショウウオの保全活動について書きたいと思います。

ちなみに今回のブログは2年前に書いた下記のブログからの続編となっておりますので併せてご覧ください。

3年ぶりに再燃する思い – うちのバックヤードのチラ見せ (nonhoi.jp)

読んでいただけたでしょうか?

 

そうなんです、この時の想いが現実になったんです!

実を言うと前回のブログを書いた少し前に渥美半島でヤマトサンショウウオの卵嚢と成体を確認していたんです!(完全なプライベートで)しかし、この時点ではまだ私の趣味の延長…。私の趣味の範囲ではこのヤマトサンショウウオを守ることはできません。

そこで!ここからはどうやって趣味を仕事にするのかが問題になります。なんといっても30年近くちゃんとした調査がされていなかった渥美半島のヤマトサンショウウオの生存を確認できたんですからね。

ここからは対ヒト。仕事にするには職場でこんなことがやりたいんだとアピールしなくちゃいけないですからね~

~省略~

保全といってもサンショウウオ好き飼育員の私だけでは何ともならず、日本のサンショウウオの歴史や分類など科学的知見も必要になります。幸いなことにのんほいパークには動物園だけではなく自然史博物館もあります(植物園も遊園地もあります!)。

そこで動物園と自然史博物館さらには愛知教育大学の島田知彦氏と共同で渥美半島のヤマトサンショウウオ保全プロジェクトを2020年よりスタートすることができました。

ここからはヤマトサンショウウオ保全プロジェクトの取り組みを簡単に紹介しようと思います。

ひとまずは渥美半島におけるヤマトサンショウウオの生息状況を明らかにすること!

 

【現地調査】

 

こんな感じでやってます。

過去の情報や地図上の等高線から目星を付け2年間で50地点くらい調査をしました。

ちなみにこの調査で生息を確認できたのはたったの2地点です。

(減っていると言われているアズマヒキガエルやニホンアカガエルなどの卵塊は多数確認でき、現地調査の重要性を感じました)

 

【卵嚢採取と幼生の育成】

 

 

 

 

 

生息が確認できた場所には外来種であるアメリカザリガニが多く生息し、サンショウウオの幼生を食べてしまいます。幼生時期の生存率を高める為に行っています。

 

話は逸れますがアメリカザリガニってかっこよくて今でも好きです、みなさんも子どもの

頃ガサガサしたりして楽しかった記憶ないですか?

自然や生き物に接する良い機会を与えてくれる存在なんですよね。(オカダンゴムシからは

じまりウシガエルのオタマ…きっかけは外来種に支えられてる…)

しかし日本の在来種に影響を与えているのも事実。サンショウウオの保全を考えるとアメ

リカザリガニにぶつかりますねぇ(特に止水産卵性サンショウウオの環境)。

 

【幼生の放流】

カエルと同じで鰓呼吸のオタマジャクシから肺呼吸に変わり上陸。という流れですが、生息地で上陸させるためギリギリまで育てたオタマジャクシを放流します。

 

 

 

放流前に水温合わせをやっています(温度変化が大きいと負担になるので)。

3~4年後、繁殖期に戻ってきてくれることを願って(性成熟するのにおそらくそのくらいかかります)。

のんほいパークのヤマトサンショウウオ保全プロジェクトについて少し知っていただけたでしょうか?

この他にも現在進行形で進んでいるものもありますのでまた報告したいと思います。

 

さいごに私たちが知らないうちに消えていっている生き物ってたくさんいます。

サンショウウオもそのひとつ。

生態系はいろんな生き物が複雑に関係しあって成り立っています。私もその一部。少しでも

いろんな生き物のことを見て、知れるように自然の中へ行こうと思います。

(庭とかの生態系もけっこうおもしろいですよ!土の中のダニみたいなやつとかね。そーいえば小学校の授業でやったツルグレン装置おもしろかったなぁ。カニムシ当たりやったなぁ)

おっと、また話が逸れてきたのでこのへんで失礼いたします。

お読みいただきありがとうございました!

 

みなさまも良いフィールドライフをお過ごしください!

なかよし牧場担当 宮川