園長ブログ(25) 世界野生生物の日

高見園長

こんにちは。動植物園長の高見です。

とても寒い日が続いていましたが、ここ数日は気温も上がり、春がすぐそこまで来ていることを感じます。動物たちも心地よい日差しを楽しんでいるように見えます。

さて、今日3月3日は桃の節句、ひな祭りの日です。
が、それだけではなく「世界野生生物の日」でもあります。
絶滅が危惧される生物を守るために、生物の国際的な取引を規制するための「ワシントン条約」が採択された日を記念して、10年前に国連が「世界野生生物の日」を制定しました。

 

経済産業省と環境省が共同でこのようなポスターも作っています。なぜ経済産業省?と
思われるかもしれませんが、生物の輸出入を管理することも経済産業省の仕事だからです。

 

ワシントン条約は、ちょうど50年前の1973年に制定されました。この50年間でどう変わったかというと、条約ができたにもかかわらず、野生生物が置かれている状況はますます悪化しているようです。

 

当園で飼育しているヨウスコウワニ。注目されることは少ないかもしれませんが、
絶滅が危ぶまれワシントン条約などで厳重に守られている動物の一種です。

 

輸出入を制限するだけで様々な生物を救えるというわけではありませんが、大きな効果は見込めます。例えば当園でも飼育しているコツメカワウソ。数年前まではペットとして輸入され販売されていました。手続きを経ず違法に輸入されたものも多かったため、2019年にワシントン条約で最も厳しい規制の対象になりました。今では、販売業者や一般の方は輸入できません。それ以前に輸入されたり国内で生まれたりした個体は手続きすれば一般の方でもやり取りできますが、国内で正規のペットショップの店頭に並ぶコツメカワウソはまずいないものと思われます。

それでも、ネットで検索すると、「コツメカワウソを飼うには」といったサイトが今でも数多く見られます。やはり、「かわいい」、「飼いたい」と思われる方が多いのでしょう。だからこそ、「世界野生生物の日」といったものが必要なのでしょう。

 

今日はコツメカワウソも日なたで気持ちよさそうに過ごしていました。

 

「かわいい」、「飼ってみたい」という気持ちはわからなくもないですが、動物園でその気持ちを満たしていただければと思います。飼育の手間ひまもかからず、餌代もかからず、会いたいときに会える。おすすめです。

野生生物を「所有する」ということを、「世界野生生物の日」に考えてみませんか。