園長ブログ(19) ノウハウの積み上げ

高見園長

こんにちは。動植物園長の高見です。

 

 

ブログの内容が2回連続して小鳥の話になりますが、カワラヒワという鳥をご存知でしょうか。

国内ではどこにも普通にいる鳥で、豊橋総合動植物公園・のんほいパークの園内でもよく見かけます。

今、この鳥の繁殖を目指して飼育しています。

 

 

これまでメス2羽を飼育していましたが、3月末に横浜の動物園からオスを迎え入れ、オス・メス1羽ずつを展示室で一緒にしました。当園ではこれまでにもカワラヒワの繁殖に成功したことがあり、このペアにも期待しています。

 

昔から日本で暮らしている野鳥のことを和鳥と言います。和鳥を飼育している動物園は多くはありませんが、そんな動物園が集まって、カワラヒワの繁殖を目指すプロジェクトを最近立ち上げました。横浜から当園へオスがやって来たのも、その一環です。

 

 

カワラヒワをたくさん増やさないといけない状況か・・というと、そうではありません。

本州から遠く離れた小笠原諸島に、オガサワラカワラヒワという鳥がいます。この鳥は、カワラヒワの亜種の一つ(同じ種だがやや違いがあるもの)だと考えられていましたが、2年前に遺伝子や外見の違いが大きいことから別の種であることがわかりました。

現在、オガサワラカワラヒワは200羽程度しかいないと考えられています。世界中で小笠原諸島のみ、世界中で200羽のみです。いつ絶滅してもおかしくない状況です。最近急激に数が減っているようで、その大きな原因は島に持ち込まれたネコやネズミだと言われています。

何とか、オガサワラカワラヒワを守らなければなりませんが、簡単なことではありません。

 

 

 

左がオガサワラカワラヒワ 右が園内でも見られるカワラヒワ

オガサワラカワラヒワの方が、くちばしが長く大きいことがわかります 樹木の種子を食べるためだと考えられています

 

 

 

 

今後、一部を捕まえて安全な場所で人の手によって増やし、野生に戻すという対策も考えられています。まだ数羽が現地で飼育されているにすぎませんが、うまく繁殖させるための飼育方法を今のうちに確立しておく必要があります。そこで、動物園で近縁種のカワラヒワを繁殖させることで、そのノウハウを積み上げようというわけです。

 

 

鳥の繁殖シーズンは年に1回のみです。ノウハウの積み上げには少し時間がかかるかもしれませんが、この希少な鳥が地球上からいなくなってしまわないように、少しでも役に立てればと思います。

 

 

カワラヒワは、和鳥展示コーナーのオシドリがいる部屋にいます。小さくて飛び回っているので、見つけにくいかもしれませんが、頑張って探してみてください。