守れ!渥美半島のヤマトサンショウウオ パート3

飼育員

こんにちは、サンショウウオ調査隊の宮川です。

 

今回のブログでは、今年の渥美半島でのヤマトサンショウウオの産卵状況についてお話します。

 

 ヤマトサンショウウオの成体

 

過去のブログはこちら

守れ!渥美半島のヤマトサンショウウオ – うちのバックヤードのチラ見せ (nonhoi.jp)

守れ!渥美半島のヤマトサンショウウオ パート2 – うちのバックヤードのチラ見せ (nonhoi.jp)

 

2021年から始まった渥美半島でのヤマトサンショウウオ調査・保全活動も今年で4年目となります。

 

過去の調査で渥美半島には現在3地点での生息・繁殖が確認できています。

 

今年は3地点での産卵数の確認と卵嚢を持ち帰り幼生期間の保護を実施しています。

 

※サンショウウオはメス1匹で1対の卵(卵嚢)を産みます。卵(卵嚢)の数で繁殖に参加したメスの数がわかります。

 

 これが1匹のメスが産卵した1対の卵(卵嚢)

 

以下、保全の観点から現地写真は省きます。

 

地点A:卵の数:26対+α(産卵前のメス個体も確認したため)。

昨年は24対だったため、安定した産卵が確認できた。

この地点は調査を始めた2021年と2022年は10対前後しかなく、初年度から卵を保護し幼生を育て放流を行ってきた経緯がある。もしかしたらこの活動が功を奏し、繁殖個体が増加したのかもしれない。

※上陸した個体は性成熟するまで数年かかるので、今後の調査でその年数もわかってくるかもと考えています。

 

地点B:卵の数:5対+α(すでに孵化した幼生も確認したため)。

昨年は約7対だったため,大きく変わらず。

 

地点C:卵の数:21対。

昨年は0。2021年は2対、2022年は1対。

この地点はこれまでの調査で今後が心配される場所だったが、今年かなりの産卵が確認できた。(すごくうれしかった!)

要因としては、今年は雨量が多く過去3年の環境と比べると特別水量が多かった。イノシシのヌタ場になっていた湿地帯も今年は水が多いせいかイノシシの痕跡もなく確認できた卵嚢も状態の良いものがほとんどだった。

 

 

ざっくり3地点の状況を書いてみましたが、地点Cのようなこともあるので毎年確認する

 

ということはとても大切だなぁと痛感しました。

 

地点Aのように幼生期間の保護も個体数増加の効果がありそうなので今年の様子も写真付

 

きで紹介したいと思います。

 

方法は1対の卵の方房を採取し人工下で孵化をさせ幼生期間を飼育します。

 

この時に注意を払うことは確認したすべての卵から方房を採るということです。飼育下で

 

は野生下にくらべ生存率がかなり上がります。そのため、生き残る遺伝子に偏りが起こらな

 

いようにするためです。

 

 1対の方房

 

野生下ではアメリカザリガニ(条件付特定外来生物)の捕食により個体数が減ることが懸念

 

されるためこのような対策を行っています。しかし、飼育下で育った個体が放流後にしっか

 

り適応できるのかもはっきりしないため半分は自然にまかせています。

 

 

写真のようにはじめは卵をそれぞれ個別で管理し,それぞれからサンプルを採ります。これ

 

は今後遺伝子調査を行い、遺伝子の多様性と各地点の遺伝子の違いをみるためです。

 

サンプルを採ったあとは幼生をまとめて管理しますが、採取した地点が混ざらないように

 

注意をします。今後放流を行う際に,違う地点の個体が混ざってしまうと本来は混ざること

 

のない遺伝子が混ざってしまう遺伝子汚染が起こってしまうからです(サンショウウオは

 

移動能力の高い生き物ではないため地域ごとで遺伝子の変異がみられやすいです)。

 

 

 

 赤虫を食べる幼生

 

この幼生たちは5月後半くらいになると顔の周りの外鰓(鰓呼吸するための器官)が小さく

 

なっていき、肺呼吸に変わり上陸をむかえるのでそのころに放流します。

 

 

ヤマトサンショウウオは愛知県で絶滅危惧種に指定されており、卵の形状などからも調査

 

がしやすいこともあるため保全活動に力を入れていますが、ヤマトサンショウウオの暮ら

 

す自然にはさまざまな生き物たちがお互いに関わりあって成り立っています。本来はその

 

自然丸まるごとに目を向けて守っていく仕組みが必要です。

 

ん~・・・むずかしい!

おわり。