サイ主幸せプロジェクトの巻

飼育員

「あれなーに?」「サイのブランコ?」

などという声がサイの観察台の横を通るとちらほら聞こえてきます。

この得体のしれない二つの物体はサイ主幸せプロジェクトの一環としてサイ主さんの方々と一緒に考えて作成したものです。

幸せプロジェクトとは、サイ(動物)たちが幸せに生活していくために何をしてあげられるか実践していこうというものなのですが~。

「ん~?サイの幸せ?何がある?これは困ったゾー。」

大きなサイ相手に考え付くことはお金や時間のかかる大がかりなことばかり。サイ主さんたちとの話し合いの中でも、運動場を広くする、一面に草を植えて食べてもらうなどなど意見が出されましたが、現実的にかなり難しいことから、自分たちで、できうる範囲内の「小さな幸せ」を見つけることにしました。

そこで考えられたのが木にぶら下がったブイと丸太です。

先ずは何が幸せを感じるか?美味しいものを食べる、食べているその瞬間が幸せではないかということでフィーダー作りに取り掛かりました。以前にあったプラスチック製のつぶれたドラム缶を新しく交換して、穴をあけ直し設置しました。さらにブイのフィーダーを木にぶら下げました。角や頭で揺らせる高さにして、ドラム缶と同様、穴から餌のヘイキューブが出てくる仕組みです。

 

 

 

 

穴の数、場所、大きさは微妙で餌が出過ぎないようサイが長時間工夫して飽きずに使ってくれるように考えました。餌が出にくいと使ってくれないので、そこは腕の見せ所。以前のドラム缶の穴の大きさを参考にしましたがまだまだ改良の余地ありです。設置後はしばらく餌を出して食べることはせず、角や体で触れる程度でしたが、少しずつ餌を出すことを覚え使ってくれているようです。普段は下を向いていることが多いサイですが、頭を上げる行動が見られるのはブイを使っている時くらいなので見る側としては楽しめるのではないでしょうか?ただサイが幸せを感じてくれているのかは微妙なところですが…。

 

次に丸太です。

サイは泥浴びが大好きな動物で、体の泥落しや痒みをとるためによく体を壁や柵、岩にこすりつけます。お腹は手ごろなサイズの岩をお腹の下に入れて擦ります。擦ったところは綺麗な肌になっているのがよくわかるのですが、背中は泥や角質がついたままの状態です。

そこで考えたのがこの大きな丸太。痒いところまで手が届く丸太なのです。決してブランコではありません。よく擦れるようにチェーンソーで凹凸を入れて、背中にちょうど当たる位置に設置してあります。

最初は大きな丸太に興奮して走り回ったり、威嚇するように角でつついたり、体当たりしたりしていました。意図する行動とはかけ離れていましたが、徐々に痒い背中に届いたのか、丸太の下に潜りこんで背中に乗せて歩いている姿がみられるようになりました。頻繁に使ってくれているわけではありませんが日に日に背中に擦った跡が付いてきていて、綺麗になってきています。丸太も程よい具合に削れてきています。

 

 

 

フィーダー、丸太ともに常に使っているわけではないですし、時間も決まっていないので見られないことが多いと思いますが、ゆっくりと時間をかけて観察していただければ必ず見られるはずです。サイがちゃんと幸せを感じているのかはわかりませんが、とりあえず今回の幸せプロジェクトはこれにて終了です。サイも皆さんも幸せ感じていただければよいのですが…。そうなれば…とりあえず成功ですかねぇ…?

これからも「小さな幸せ探し」頑張りたいと思います。

サイ主に皆さま有難うございました。