動物研究員のお仕事、豪華三本立て!!

研究員

こんにちは!

動物研究員です。

 

動物研究員には研究だけでなく飼育や教育普及、その他諸々の業務があります。

(飼育員の仕事も、もちろん飼育だけじゃないです)

昨年も四苦八苦しつつ、楽しく駆け抜けました。

今回のブログは、昨年主催した2つのイベントと研究紹介の豪華三本立てです!

すこーーーし長くなりますが、写真もたっぷりありますので写真だけでも眺めてもらえると嬉しいです。

 

①環境エンリッチメントワークショップ

②獣害問題・と体給餌を考える一日

③研究紹介 ~飼育員の安全を守る!~

 

①環境エンリッチメントワークショップ

動物園の飼育員や研究者を対象とした環境エンリッチメントのワークショップを9月4日に開催しました。

環境エンリッチメント(以下、エンリッチメント)とは動物たちの飼育環境をより良くするための具体的な方策です。

例えば、元々群れを形成するニホンザルを複数頭で飼育したり、元々長い時間をかけて餌を食べるキリンに、わざと食べづらくした容器に餌を入れて食べる時間を長くしたりすることです。

透明なパイプの中に舌を伸ばして餌を採るキリン。
舌を使う機会が増えて、食べる時間も長くなります。

 

今回のワークショップは、動物園などの飼育施設の関係者や研究者へのエンリッチメントの普及などを行っている非営利団体SHAPE-Japanとの共催で開催しました。

(ちなみに私もSHAPE-Japanのメンバーです)

 

全国から集まった動物園関係者たちと当園の飼育員、総勢約50名が参加し、講義やグループディスカッション、エンリッチメントのアイテム造りを丸一日かけて行いました。

講義に聞き入る参加者たち。

 

モノ作りはどこの飼育員もお上手!

 

飼育員同士の交流から新たなアイディアが産まれます。

 

グループに分かれてアイテムを造りました。

 

このときに作成されたものの一部は現在も園内で使用されています。

普段は別々の職場で働く飼育員たちですが、現場が違っていてもより良い飼育環境を提供したいという願いは共通しています。

このようなワークショップが関係者同士のコミュニティを活性化させ、各地の飼育動物たちの生活の質が向上する機会になることを願っています。

全国から集まった猛者(飼育員)たち。

 

 

②獣害問題・と体給餌を考える一日

12月17日を「獣害問題・と体給餌を考える一日」として、特別ガイドツアーとシンポジウムを開催しました。

 

のんほいパークでは毎週日曜日に、県内で駆除されたシカを加熱殺菌し、骨や皮が付いたまま動物園のライオンに給餌する「と体給餌(とたいきゅうじ)」を行っています。

【ライオンのワイルド飯】ライオンへの屠体給餌を行っています|【公式】のんほいパーク(豊橋総合動植物公園) (nonhoi.jp)

シカの肢を食べるライオン。
突き立てた爪や筋肉の動き、骨を噛み砕く音にライオンの凄みを感じます。

 

午前中のガイドツアーでは、動物研究員と一緒にニホンジカやライオンの展示を回りながら、動物の展示や頭骨レプリカ、鹿肉などを見たり触れたりしながら、動物の生態や獣害問題、動物園のライオンたちのよりよい生活について五感を使って学びました。

シカは被害ばかりが注目されがちですが、シカそのものの生態や美しい毛並み、ヒトとの関わりなど、シカの魅力が伝わるように努めました。

 

お昼には、ライオンのと体給餌が見学できる「ライオンのワイルド飯」を開催しました。

また、この日のためにガイドに使用するパネルやライオンの運動場にある看板を刷新!
ついつい読みたくなるポップなイラスト、なのに内容は正確かつ丁寧に作りこみました(イラストはサイエンスイラストレーターのきのしたちひろさんによる書下ろし!)。

解説パネル。

以前よりも倍のサイズで見やすく、内容もより分かりやすく刷新しました。

 

看板。

簡単な解説と詳細な情報を分けることで、ぱっと見でサラッと知りたい人も、じっくり読み込みたい人にも対応できるようになっています。

 

午後からは、自然史博物館で「シンポジウム 地域の獣害問題と動物園の動物福祉をつなぐ環境教育活動へ ~捕獲された野生動物を屠体給餌に活用する~」を開催しました。

40名近くの方々にご参加いただきました。

 

当園と共同研究を行っている日本大学生物資源科学部細谷研究室の共催により、3大学、1研究所から専門家が招かれ、学会さながらのハイレベルなシンポジウムになりました。

本シンポジウムの主催でもある、日本大学の細谷先生。

同じ愛知県にある中部大学の牛田先生。

牛田先生たちとはライオンの消化吸収に関する共同研究を行っています。

 

この日のイベントは、ジビエ(シカ肉を使ったフランクフルト)の試食や、この取組について漫画形式で学べる特製クリアファイルが配布されました(こちらもきのしたちひろさんのイラストです)。

シカ肉フランクフルト。

シカ肉を初めて食べた方からも食べ慣れた方からも好評でした(私も食べてみたかった…)。

 

特製クリアファイル。

学校や職場、ご家庭でも、この日のことを振り返って、他の人と話すきっかけになるようにと想いを込めて作りました。

 

当日はガイドや給餌の様子、看板、講演などを真剣に見聞きする方々の姿が多数見られました。

参加者アンケートからも獣害問題に対する理解促進が驚きとともに綴られるなど好意的な結果や感想が得られ、大成功だったと思います。

 

※本件はJSPS科研費JP20K03254「獣害問題と動物福祉を考える科学教育の開発:駆除された野生動物を動物園で活用する」(研究代表者:細谷忠嗣)(シンポジウムのみ)および、農林水産省「鳥獣被害対策基盤支援事業(と体給餌利用促進事業)」の助成を受けて実施しました。

 

 

③研究紹介 ~飼育員の安全を守る!~

動物研究員は動物や動物園に関わる多様な研究を進めています。

その中でも私のメインテーマの一つでもある、飼育員の安全を守るシステム開発をご紹介します。

 

動物園にはライオンやクマなどの人に危害を加える恐れのある動物が飼育されています。

もちろん、皆さんが安全に楽しめるように様々な安全対策が施されています。

 

私たちの調査で、日本の動物園のお客さんが重大な事故に巻き込まれたケースは過去20数年間ないことがわかりました。

その一方、飼育員の事故は発生こそ非常に稀ではありますが、重大な事故が減っていないことも明らかになりました。

日本の動物園における1950年から2022年までに発生した動物による死傷事故の定量的評価 (jst.go.jp)

 

この調査結果をもとに、新たな安全管理システムの開発を進めています。

しかしながら、私はライオンやクマを担当したことがありますが、機械を造ったり、プログラミングしたりすることができません。

そこで、崇城大学や九州大学の工学部の研究者やエンジニアの方々との共同研究を行っています。

システム開発を進める共同研究者たちと行った発表の様子。

 

動物園から悲惨な事故を根絶すべく、どこの動物園でも使える役立つシステムをできるだけ早く世に出したいと考えています(がんばれ自分!)。

 

 

いかがでしたか?

動物園にはいろいろな人たちがいろいろな仕事をしています。

より楽しく、安全で、学びのある動物園を目指して、これからも奮闘していきます。

随分長くなってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

(あまり長くならないように、今年はこまめにブログを書きます。)

 

 

動物研究員