ゴマフアザラシの「もなか」は元気です!

飼育員

現在、展示の再開へ向けて準備中のゴマフアザラシの「もなか」ですが、非常に元気に過ごしています!!

昔から物凄い食欲がありましたが、それは今も健在で、おもちゃやホースの水で遊ぶ姿もよく見せてくれています。

そんな「もなか」の様子をここまでお知らせしておらず、大変すみませんでしたm(__)m

そこで、このブログを使って、展示を中止してからの経過を詳しく報告させていただきます。

 

昨年1月、鼻炎が悪化するだけでなく、顔全体に炎症が広がってしまったため、検査や治療のためにメインプールから、水位の管理がしやすい予備の部屋へ移動しました。

詳しい検査の結果、通常の抗菌薬が効かない非結核性抗酸菌(水や土壌中に存在する菌ですが、まれに悪さをすることがあります)による炎症(詳しくは化膿性肉芽腫性炎)と判明しました。アザラシでの前例が無く、通常は皮膚に起こる病気が鼻の中で起こっていることや、抗酸菌用の薬も効きにくいと言われる非結核性抗酸菌が原因ということで大変心配しましたが、薬をいくつか組み合わせて半年近く治療を継続したところ、幸いなことに無事に病気を治すことができました。この経過は、昨年末に開催された日本動物園水族館協会主催の研究会で報告もしてきました(緊張しました…)。

その後は、定期的に検査をしながら再発が無いか慎重に様子をみてきたのですが、その間に健康管理のためのトレーニングを一から見直すことにしました。今までは、「もなか」の気分や、指示する飼育員によって採血や爪切り、触診ができたりできなかったりしていたのですが、今ではバッチリこちらの指示どおりにできるようになりました!

 

前述のように、病気は無事に治りましたが、残念なお知らせもあります。病気の爪痕は意外と深く、鼻中隔(鼻の穴と穴の間の部分)が欠損してしまったり、右目が白濁してしまったりと、発症前の様子に完全に戻すことができませんでした。

 

幸い日常の生活を送るのに影響はないため、後は「茶々丸」や「しらたま」の待っているメインプールへ戻るだけなのですが、1点私たちが不安に感じていることがあります。

それは…鼻中隔が欠損しても、水中で鼻をしっかり閉じることができるのか?と言うことです。アザラシは潜って泳ぐ際に、鼻の穴をぴったり閉じることができます。

幸い、治療後の「もなか」も、様子を見る限りは鼻を閉じることはできているようで、水の溜まったバケツに自ら顔を入れたり、顔に水をかけたりしても嫌がることはありません。

 

現在は、水位の浅い場所で飼育していることから、問題なく生活できていますが、今後広く深いプールで勢いよく泳いだ際に、今まで通り鼻に水が入ってこないかも確認の必要があります。大事が無いように、メインプールへ戻る前に、一旦横のサブプールに移動して様子を確認する予定です。鼻に水が入ってパニックを起こす可能性も無くはないため、緊急事態にも対応できるように準備を進めています。

 

実を言うと、2022年中にサブプールへ移動して展示を再開する予定でしたが、極地動物館を担当する飼育員たちが流行りの感染症で次々と休むこととなってしまい、予定通りに進められずに年を越してしまいました。「もなか」に会いたいとお声がけいただくことが多い中、展示再開が遅くなり申し訳ございません!

 

この春には元気な「もなか」に再会していただけるように、いま準備を進めていますので、もう少しだけお待ちください!

2023年2月3日

 

※追記※

2月13日...

治療していた部屋から、サブプールへ移動を試みました。パニックになることもなく以前と同じように遊泳し、落ち着いていました。

2月14日からサブプールにて展示を再開いたします。是非、元気なもなかに会いに来てください。

アザラシ担当飼育員N