今回は私自身が動物園で働くきっかけになった出来事について書きたいと思います。
それは今から10年以上も前、私が大学2年生の時でした。
当時の私は、将来やりたいことが何なのかわからず、ただ漠然と、生き物のことや自然環境のことについて、人に伝える仕事がしたいな…とぼんやり考えていました。
大学ではとりあえず興味のある授業をたくさん受けて、自分がやりたいことはなにか、自分に合っていることは何か考えてえいました。
そんな時に受けた授業が、学芸員課程にあったある科目でした。
今となっては科目名を思い出すことができません…。
しかし、まず覚えているのが、事前課題として川端裕人さんの「動物園にできること」を読んでレポートを書くというものでした。

私はそれまで「動物園」という場所のことは知っていましたし、何回も行ったことがありました。しかし、この本に書かれているアメリカの動物園のあり方は、私が今まで感じていた動物園の姿とは全く違うものでした。飼育している動物により良い暮らしを提供するだけでなく、生息環境を再現した展示場で野生生物の本来の姿を来園者に感じとってもらう。さらには野生での現状を伝える。このような事が書かれていてとても衝撃を受けました。さらに授業の中で、博物館法における日本の動物園の立ち位置や、動物園が掲げる4つの役割(レクレーション、種の保存、調査・研究、教育・環境教育)などについて学びました。
お恥ずかしいことにそれまでの私は、動物園について「動物が見られる場所」くらいにしか思っていませんでした。しかし、この授業を通して「生き物のことや自然環境のことについて、様々な世代の人に伝えられる場所」は動物園であり、私の働くべき場所は動物園かもしれないと妙に確信したのを覚えています。動物園の4つの役割のうち、「教育・環境教育」に取り組みたいから動物園で働こう!と思いました。
それからの大学生活では、卒論で動物の生活を豊かにする環境エンリッチメントについて詳しく調べたり、修論では「動物園にできること」に出てきた生息環境展示で動物は本当に幸せなのか、来園者にはその意味が伝わっているのかなどを日本の動物園で調べたりしました。
また、私の通っていた大学は全国各地から学生が集まっている大学でした。私がこの授業を受講した時おそらく30人くらいの学生がいたのではないかと思うのですが、それぞれがおすすめの博物館・動物園・水族館について授業の最初に簡単に紹介するコーナーがありました。
このコーナーもかなり印象に残っています。いまやSNSが普及し全国の動物園の情報は、個体の細かい情報までも簡単に知ることができる時代になりましたが、当時の動物園の情報はHPにある情報のみがほとんどで、まれにブログをやっている園があるくらいでした。そんななか、同級生が自分の地元の大好きな動物園の様子や、おすすめポイントを聞くことができ、一言で動物園といっても、飼育されている動物が違ったり、力を入れている所が違ったりするという事を気づかされました。まだ10代だった事もあり、それまでまだそんなに多くの県に行った事がありませんでしたが、この授業をきっかけに日本にある色々な動物園に出かけるようになり大学生のうちに海外も含め20箇所くらいの動物園に行き、色々な動物園のスタイルに出会う事が出来ました。のんほいパークにも大学3年生の時に初めて訪れ、カバがジャブジャブ泳ぐ後ろに群れで見えるシマウマが見え、これが教科書で読んだ無柵放養式展示か!かっこいー!と思ったのが今働いているきっかけでもあります。
そんなこんなで、この大学2年生の授業がきっかけで私はいま動物園で働いています。働き始めてから出席した会議で川端さんやこの授業の担当の教授(同じ学部の教授ではなくこの授業の後はお会いできなかった)とお話しする機会があり、いまこうして動物園で働けていることの感謝を伝えられることが出来たのも良い思い出です。
動物園で働き始めた後に、やっぱり「レクリエーション」ももっと大事にしたい!と思ったできごとや「種の保存」に貢献していきたい!と思った出来事もあり、当時と考えかたも変わっていますがそのお話しはまた機会があれば書きたいと思います。
今回のお話しは、動物のことではなく人間のことになってしまいましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。

硬いおでんのマフラーを編んだ飼育員Yより
