皆さんは、空飛ぶ宝石と聞いてどんな動物を思い浮かべますか?動物に詳しい方や勘の良い方は直ぐにお分かりいただけたでしょうか。
今回は、空飛ぶ宝石「カワセミ」について書きたいと思います。
カワセミは、羽色が鮮やかな色彩をしており、その美しさから空飛ぶ宝石と言われています。また、カワセミは漢字で『翡翠』と書くことがあり、翡翠(ひすい)と読む宝石の名称はカワセミの美しさから名付けられています。
カワセミを展示している動物園水族館は少なく、国内では当園を含めて3施設ほどしかありません。
こちらが当園のカワセミです!


お腹側はオレンジ色、頭の上から背中と翼は青緑色の体色をしており、鮮やかなコントラストがとても綺麗ですね。
この青く見える羽は色素ではなく、構造色と呼ばれるものになります。羽毛の細かい構造によって光が干渉し、光の角度や当たり方によって鮮やかな青緑色に見える現象です。私たちの身近なもので言えばCDの盤面やシャボン玉表面の虹色などがあります。のんほいパークの動物たちの中では、マンドリルやクジャクが構造色を持っています。



カワセミは、自然界ではウグイ、フナ、ハゼなどの魚類やエビ、水生昆虫、カエル、オタマジャクシなどを食べて生活をしています。当園では代わりに何を与えているかというと主に金魚を与えて飼育しています。

展示場内にコンクリートの生簀があり、カワセミが自由に狩りを行い、いつでも金魚を食べられる環境にしています。およそ1日に30匹程の金魚を食べています。この食性にカワセミの大きな嘴が関係していると言われています。嘴の形状は鋭い四角すいの形をしており、水や空気の抵抗を最小限に抑える役割があり、大きさは体の4分の1程を占めます。この大きな流線型の嘴によって、水中の獲物を弾丸のようにダイブして捕らえることができるわけです。また、嘴は獲物を狩る際だけでなく、水辺の土壁に巣穴を掘る際にも役立っています。因みに嘴で雌雄が分かり、オスは嘴が黒色で、メスは下嘴が赤色になります。
カワセミは、足の形も特殊です。こちらがカワセミの足です。

多くの鳥類は指が4本あり、3本の指が前を向き、1本の指が後ろを向いており、三前趾足(さんぜんしそく)と呼ばれる形をしています。しかし、カワセミは前の指3本の内、外側2本が癒着したような形をしており、合趾足(ごうしそく)と呼ばれる形をしています。先程、嘴で巣穴を掘る話をしましたが、嘴だけでなく、この合趾足をスコップのように利用し、1メートル程の横穴を掘って巣穴にしているのです。
こちらが野鳥園のカワセミなどが展示されているケージになります。カワセミの他にコマドリ、セグロセキレイ、ウグイス、メジロを一緒にして混合展示を行っています。

左上の奥辺りにいることが多いですが、ガラス面の手前の植栽に止まっている姿も割と見られます。カワセミが生簀にダイブして金魚を捕らえる姿が見られたら、とてもラッキーです。

是非、独自の進化を遂げた魅力満載のカワセミを観察しに来て下さい!
バードエリア担当より
