飼育員の目線を体験してみよう
飼育員さんは普段どのような目線で動物たちを見ているのだろう。それを”ちょびっと”だけ体験できるのがちょびっと飼育員体験”。
今回のテーマはニホンザルのフィーダー作りです。
のんほいパークではエンリッチメントの一環として、ニホンザルが工夫しながらエサを採取できるよう大型のフィーダーを設置しています。ニホンザル自身にはフィーダーがいい刺激になり、お客さんにとってはニホンザルの知能の高さ、器用さ等を観察できる機会になります。

つまり飼育員さんは、動物の生活の質を向上させるとともに、お客さんが動物の能力や行動を観察できるように飼育環境を作っているんですね。
フィーダー作りを体験
今回のちょびっと体験では小型のフィーダー作りを通して飼育員さんの目線を体験します。
ニホンザルの食生活を解説

参加者はニホンザル舎に集まって説明を聞きました。

ニホンザルが野生下ではどのようなエサを食べているのか、のんほいパークではどのようなエサを与えているのか。
野菜やリンゴなんかは人間が見ても美味しそうですよね。人間とニホンザルは同じ霊長類なので、食べる物も割と近いんだと共通点を見つけられます。

のんほいパークにいるニホンザルの見分け方も説明しました。個体を見分ける事が出来なければ飼育員は務まりません。
フィーダーを作ってみよう

今回使うニホンザルのエサは大麦やペレット、ピーナッツ等です。

これを筒型のフィーダーに詰めていきます。フィーダーは横に穴があいているので、その穴から少しずつエサを取り出すことができます。

ニホンザルが簡単にエサが取れても刺激にならないですし、いつまでたってもエサが取れないのもよくないです。ちょうどよくエサが取れるよう、木の棒でエサを砕いて調整します。


色々な種類のエサを入れるのがいいのか、ニホンザルの好物をたくさん入れてあげるのがいいのか。自分なりにニホンザルの気持ちを考えてフィーダーを作っていきます。

エサを入れ終えたらフタをします。ニホンザルがフタを開けられないよう、飼育員さんにペンチで強くフタを閉めてもらいます。
フィーダーを設置しよう


フィーダーを置く場所も大切です。ニホンザルの放飼場の中のどこにフィーダーを置くか、付箋にメモを付けて飼育員さんに託します。



飼育員さんはメモの指示にしたがってフィーダーを設置していきます。果たしてニホンザルはフィーダーを使ってくれるのでしょうか。
フィーダーの形状を利用するニホンザル

木の下に置いたフィーダーはすぐに1匹の猿に持っていかれました。
このニホンザルは他のサルに取られないようにフィーダーを小脇に抱えて放飼場の隅へ移動しました。

そしてコロコロとフィーダーを転がす事でエサを取り出しています。フィーダーの形状を利用した作戦ですね。
環境を利用するニホンザル

水飲み場の近くに置かれたフィーダーを確保したニホンザル。穴に自分の指を入れてエサをかきだそうとしています。

どうやらなかなかエサが出てこない様子です。

しばらく考えた後、水飲み場にフィーダーをつけました。一度フィーダーに水を入れて、水と一緒にエサが流れ出てくるのを食べる作戦でした。
見事に環境を利用してエサをゲットしました。エサが水浸しになるのはあんまり気にしないんですね。
採餌行動の観察
餌に向かって大ジャンプ
フィーダー作りが終わったら最後はニホンザルの採餌行動の観察をします。

ガラスの高い位置にエサを貼り付けておきます。これをニホンザルが大ジャンプしてとります。

人間の身長を軽々と越えられそうな大ジャンプにみんなビックリ!人間がサルに勝てない部分の1つはこの身体能力ですね。
ハチミツで口の中を観察

次はガラスにハチミツを塗ります。これをペロペロと舐めるニホンザル。
ニホンザルがこんなに近くに寄ってきたら観察のチャンスです。特に口の中をじっくり見られるのは今だけ。ニホンザルの歯と人間の歯がどう違うのか見比べてみましょう。
自分で体験するからニホンザルが身近になる

今回の飼育員体験に参加した子は、自分のフィーダーがちゃんとニホンザルに使ってもらえるかをジーーーーっと観察していました。
みんな凄い集中力でニホンザルの挙動を見守り、ニホンザルの行動に喜んだり残念がったりしていました。この体験を通して、すっかり飼育員の目線でニホンザルを見られるようになりましたね。
この体験に参加した子が、今後も生き物を身近に感じながら生活してくれますように!
