皆さんこんにちは、ペンギン担当飼育員です。
今回はペンギンのメイン担当になって1年目の私が特に餌の食べさせ方が難しく、独特な食べ方をする個体をツッコミながら紹介していこうと思います。
第3位 ミナミイワトビペンギンの赤白♂
最初に紹介するのはミナミイワトビペンギンの赤白くんです。
赤白くんは2019年生まれの6歳になるペンギンで当園にいる個体では結構若い方になります。普段は陸場にいることが多く、餌の時間になると積極的に近寄ってくる姿に毎回癒されます。
そんな赤白くんですが餌やりの中盤くらいになると癖が出始めます。
当園のイワトビには全頭シシャモを与えており基本的にどの個体も細くて喉通りの良い魚なのでスムーズに食べてくれるのですが、この子は違います。
上の写真は当園で与えているシシャモ
お腹が空いている時は口元にシシャモを近づければすんなりとお腹にしまってくれるのですが、欲しいと欲しくないの葛藤が混じっている時はそうはいきません。
シシャモを7割くらい口に含み、いい感じに食べてくれるなぁと思っていたら、ペッ!…
「いや、食べないんかい…」
食べたいの?食べたくないの?それか急に要らなくなったの?
思わずツッコミたくなります。
サイズが大きかったのかなと思い、小さめのものにしても中々食べてくれません。
とっても気分屋さんな性格に当初ペンギンに配属されたばかりの私はかなり翻弄されました。
今では、一旦他の子にあげて再度戻った時にあげると高確率で食べてくれるので無事に食べさせる事が出来ています。しかし、中々クセのある子なので第3位としました。
第2位 ミナミイワトビペンギンの赤♀
第2位は同じくイワトビペンギンの赤さん。3位で紹介した赤白くんより1歳年上のお姉さんです。この子も同じく餌の時間に近寄ってきて積極的にご飯を食べてくれます。プールにも高頻度で入るのでもしかしたら泳いでいる姿が見られるかもしれません。
そんな赤さんにご飯をあげる難しさの原因は食べる向きにあります。
他の子はシシャモを嘴に向かってまっすぐ入れてあげればパクパク食べてくれるのに対しこの子に食べさせるには
『嘴の左側から右側に向かって少しだけシシャモをスライドさせ右側から魚の頭を入れる』
この様にしないときちんと食べてくれません。それ以外の向きでは嫌がってほとんど吐き出してしまうのです…
「クセが強い…」
とにかくこだわりが強い。
そしてこれの難易度を更に上げているのが、シシャモがすべて同じ形ではないという事です。塊で冷凍されてくるシシャモは折れ曲がっていたり、ねじれていたりと千差万別。
初期の頃は本当に苦戦しました。
しかし人間、毎日関わっていれば相手の事も分かり腕も上達するもの。
今では食べやすいシシャモを見極めガツガツと食べさせる事ができています。
ということで2位は食べる向きで個性を見せつけている赤さんでした。
第1位 オウサマペンギンの白緑♂
栄えある第1位はオウサマペンギンの白緑くんです。
白緑くんも2017年生まれと若く、背も大きいためオウサマペンギン界の中では結構イケメンな方じゃないかと思っています。普段はおとなしい子ですが、ご飯の時間になると10歳年上の茶緑くんとはアジを競い合って食べる姿が見られ、少しギャップを感じています。
そんなイケメン白緑くんですが、背が大きいだけでなく口も大きいのです。
ちなみに当園のオウサマペンギンは全頭中アジをあげています。
中アジとはお店などに並ぶ真アジよりも小さく、豆アジよりも大きいサイズの魚です。
左が豆アジ、右が中アジ
これを食いつきの変動にもよりますが全体で一日6kg~16kgくらい食べます。
この子は大きめのアジを好み、食べ方もまっすぐ食べてくれるので餌やり簡単じゃんと油断していたのも束の間。
嘴にアジを持っていった瞬間、パクリ…
「いや、それ僕の手…」
食いしん坊すぎて私の手がお魚に見えたのかな?魚じゃないよ。
なんと澄ました顔で手首くらいまで大きな口で飲み込もうとしてくるのです。
口が大きくて食べさせやすいのは良いのですがギザギザした嘴で手を嚙まれるのは結構な苦痛。
私は手袋をはめずに餌をあげたいとこだわりがあったのですが、この子に関しては素手でやっていると手が削れて、いずれ無くなってしまうと感じたので、今では手袋を装備して餌を与えています。
そんな白緑くんは沢山食べてくれるのでとてもやりがいがあり、実は一番愛着の湧いている個体でもあったので1位としてご紹介しました。
以上が私の思うペンギンたちの独特な食べ方事情です。まだまだクセ強ペンギンはいるのですが長くなってしまいますので3羽だけのご紹介とします。
給餌は客観的に見ていると簡単そうにこなしているように感じますが実は意外と難しいのです。
これからの暑い時期、のんほいパークに遊びに来た際にはぜひとも涼しいペンギンエリアに寄りつつ餌やりに苦戦している飼育員を見かけたら心の中で応援していただけると、とても嬉しいです。